レビュー

ときどき、小さい不満を我慢している自分に気づくことがある。SNSや動画サイトの使い勝手が悪かったり、テック企業がプライベートな情報を利用しているというニュースを見て不安を感じたりするときだ。

そうした不満を少しのため息だけで忘れようとしてしまう。かつておそるおそる始めたはずのGAFAのサービスを、使わない選択肢はもはやないとさえ思われる。
「GAFA」という言葉を定着させた著者は、こうした状況に警鐘を鳴らす。新型コロナウイルス禍でGAFAやその他の「ディスラプター」たちの支配は加速しているという。著者は皮肉まじりのユーモアをちりばめて現状やその背景を、豊富な具体例とともに解説してくれる。多くはアメリカでの事例を前提としているが、GAFAが世界的企業である以上、グローバルに共通する話でもある。
以前、ツイッターがサブスクリプションの導入を検討しているというニュースが日本でも話題になった。これは「勇敢でハンサムなニューヨーク大学スターン経営大学院のマーケティング教授」、すなわち著者が何カ月もロビー活動をして得られた結果だそうだ。詳しい内容は本書に譲るが、今後こうした調査報道のような「追究型」の事例が増えてきてもおかしくはない。
現状にノーを突きつけるだけでは終わらない著者の言動。どこか達観した雰囲気の世の中にうんざりした人たちを「このままではいけない」と勇気づけてくれる一冊だ。

本書の要点

・パンデミックはGAFAや少数の企業の支配力が強まるのを助長している。

ブランド時代からプロダクト時代への移行も背景に、彼らは多くの業界に入り込もうとしている。
・さまざまな業界でディスラプターが勃興している。大学はパンデミックによりオンライン学習というテクノロジーの導入を規模の拡大につなげられる。だが規模はGAFAたち最大の獲物でもある。
・資本主義には大きな利点がある半面、それ自体に倫理基準がない。最優先すべきは巨大テックの権力抑制と個人の権利拡大である。



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