レビュー
社会に閉鎖的な雰囲気が漂っていると感じることはないだろうか。将来に希望が持てず、自分の人生に漠然とした不安を抱く方も多いだろう。
本書では、オープン性がもつすばらしさについて論述するとともに、失われつつあるオープン性に警鐘を鳴らす。オープンな交換、門戸、精神は、人類を生態系の頂点にたたせ、産業革命を通じて所得を爆発的に拡大させた。しかし、オープン性がもたらした文明はクローズドな社会との軋轢の中で何度も滅びてきた。
いままさに、その歴史が繰り返されるかもしれない危機的な状況にある。社会の不安は人びとを内的な方向に向かわせ、異なるものを敵とみなし、専制的で「強い」リーダーを求めさせる。実際、自国を第一に考える閉鎖的な指導者が目立っている。
本書によると、オープン性を守るものもまた、オープン性だという。オープンであるからこそ、多彩な方法を試し、改善することができる。歴史を学び、経験や知識を活用することもできるだろう。
本書の要点
・人類は進化の過程で、「協力がうまい生物になる変化」を好んだ。自由移民の効果は交易より大きく、所得を爆発的に増加させる力を持つ。
・人間は常に世界を「オレたち」と「ヤツら」に分けようとする。他の集団を怪しいと思わせ、偏見と暴力が煽られる機会を与える。
・オープンな社会は、閉じた社会より安定している。経験し、学習し、成長を続けるオープン性に対して、自分の心を開いていこう。
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