レビュー

人は誰も、生きていく中でいくつものエラーを犯す。それは当然のことなのだから、いちいち気にしていられない、と思うかもしれない。

しかし、世の中には取り返しのつかないエラーも確実に存在する。たった一回の、ほんのささいなエラーが、大きな事故につながり、人命が失われることがある。1つのエラーによって姿を消す企業は後を絶たない。
エラーを完全に防ぐのは不可能に思えるが、本書はそれを否定する。すべてのエラーは防げると断言するのだ。世界中で起きたヒューマンエラーに起因する事故に対処してきた著者が開発したのは、ヒューマンエラーを根絶するためのエラーフリー・メソッドだ。著者によれば、このエラーフリー・メソッドを用いれば「新しいエラー」も「分類できないエラー」もない。すべてのエラーは対策可能だという本書のはしばしから、世界中で発生し続ける悲惨な事故を何とかしたい、人類の歴史からエラーを根絶したいという情熱がにじみ出ている。エラーさえなければ、事故で人命が失われることも、エラー対応に無駄な経費をかけることも、倒産で従業員が路頭に迷うこともないのだ。
本書はエラーフリーに至るための実践的入門書として位置付けられているが、実際に読むと日々の業務の中で使える内容が多い。自分も普段の業務の中でエラーを犯していないか、犯したエラーが放置されていないか、それを見直すことが、未来の自分や周囲の人を守ってくれるかもしれない。エラーフリーの実現のために自分を見直したくなったとき、最適な一冊だ。

本書の要点

・成功した企業が犯しやすいのが、慢心によるエラーだ。ノキアは決定を間違える「誤処理エラー」、コダックは行動しない「省略エラー」で業界トップから谷底へ転落した。
・ヒューマンエラーは、必要とされる注意力と習熟度の観点から、「知識型エラー」「規則型エラー」「スキル型エラー」の3つに大別できる。
・組織のリーダーが犯しうる知識型エラーは、ときに企業を倒産まで追い込む。
・従業員がよく犯すスキル型エラーは、作業に必要な注意力とその人がそのときに持っている注意力に差が生まれたときに起きやすい。



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