レビュー
ユニクロのカタカナロゴ、キリンの発泡酒「極生」のパッケージデザイン、ステップワゴンの広告、今治タオルのロゴ、ドコモN702iDのデザイン、明治学院大学のロゴ――。どれも画期的で、印象に残っているデザインではないだろうか。
本書のテーマは「整理術」。「整理術が、クリエイティブディレクターとしての仕事とどう関連しているのだろう?」と疑問に思う読者もいるかもしれない。だが、「整理術」をテーマにした理由は、本書を読めば納得できるだろう。著者は持ち物やオフィス空間のみならず、情報や思考に至るまで、あらゆるものを整理しているからこそ、すばらしい成果を上げているのだ。
佐藤可士和流・仕事の整理術は状況把握→視点導入→課題設定というシンプルな3ステップをたどる。難しく聞こえるかもしれないが、「極生」をはじめとし、誰もが知るデザインのエピソードを例に出して説明しているので、簡単に理解できるはずだ。
モノだけでなく情報も思考も混沌とした現代社会において、「何が一番大切なのか」に焦点をあてる整理術は、刊行から10年以上経った現在でもなお、色あせることがない。モノを整理したいときはもちろん、アイデアが浮かばず煮詰まったときや、相手に刺さるプレゼンをしたいとき、自身の原点に立ち戻りたいときにも大いに役立つ一冊である。
本書の要点
・本書における整理術とは、快適に生きるための本質的な方法論である。整理のプロセスは、「状況把握」「視点導入」「課題設定」の順に行われる。
・空間の整理は、仕事の効率を上げ、リスクを回避することにつながる。
・情報の整理において重要なのは、自分なりの視点を導入し、情報同士の因果関係を明確にすることだ。
・思考整理のカギは、「無意識の意識化」によって思考を情報化し、目に見えるようにする作業にある。
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