レビュー

求人広告のコピーライターをしていたことがある。圧倒的な数の母集団形成をできるのは、条件のよい会社だ。

給与が高くてボーナスも破格、おまけに年間休日もたっぷり。採用ではそうした会社が有利に見える。ところが、条件が整っていなくとも、採用に成功する会社もある。ある地方都市の零細企業は、駅からは徒歩30分以上、給与水準も決して高くはなく、土曜出勤も時々ある。それでも、少ない候補者の中から理想の人材に出会い、無事に採用に至っていた。その秘訣はまさに、本書で取り上げている「リクルートメント・マーケティング」の手法だ。
本書の著者は、2014年にウォンテッドリー株式会社に入社した人事責任者である大谷昌継氏だ。採用から労務、人事制度などの人事全般に携わっている。前職と合わせると18年の人事経験を持つ、いわば「採用のプロ」だ。そんな著者が採用に苦戦し途方に暮れていた時期に取り入れたのが、求職者を「顧客」、企業を「商品」に見立てたリクルートメント・マーケティングだ。
SNS、オンラインミーティングが発達し、候補者が求人広告だけで応募を決めることはほとんどなくなった。言い換えれば、発信の工夫さえすれば、以前よりもはるかにリクルートメント・マーケティングが進めやすい状況が整っている。
自社に魅力を感じてくれる人のところに情報を届けることができれば、少ない応募数でも採用成果が出せる時代になったのだ。「個人の幸せ」と「組織の未来」の対話から始まる、未来志向の採用を取り入れたいと思ったら、まずは本書をおすすめしたい。

本書の要点

・求職者を「顧客」、企業を「商品」に見立てた採用方法を、「リクルートメント・マーケティング」と呼ぶ。今まで主流だった「大量一括採用」に代わる新しい採用手法として、注目を集めている。
・仕事を選ぶ基準が、雇用条件から会社理念・企業課題・社風などへ変わりつつある。活躍してくれそうな人材へピンポイントにアプローチし、自社の魅力を伝えられるかどうかが採用成功のカギを握る。
・採用手法の変化に合わせて、人事の業務領域も変わりつつある。採用コミュニケーション全体を指揮していく、新たな役割が求められている。



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