レビュー

人間関係に関する本というと、対人関係にまつわるテクニックを紹介するハウツー本を想像する。だが、本書は一味違う。

「人間関係学」の研究者でもある著者が、人間関係にまつわる研究を100個も紹介しているのだ。内容は基本的に専門誌に掲載された論文に基づいている。そのため、学術の入門書のようでもあるが、堅苦しい印象は一切ない。1トピックが2~3ページ程度で書かれており、図表やグラフを交えて書かれた説明は、素人にもわかりやすい。気軽にさまざまな内容に触れることができる。
著者によると、「人間関係学」とは比較的新しい学問で、心理学、社会学、教育学、文化人類学、コミュニケーション学などで扱われるような、人間にまつわるさまざまなテーマを分野横断型で扱う。本書でも幅広い分野の研究が紹介されていて、読んでいるとこの学問の裾野の広さを実感することができる。巻末にある参考文献のリストを使えば、本書にある研究をより深く知り、関連研究にあたることもできる。学問的な興味だけでなく、人間についての研究は誰でも興味があるものだろう。紹介されている研究も「すぐに使える」ものや「誰かに話したくなる」ものも多くある。要約内でも紹介したが、幸せな気分は自分だけでなく、友人の友人の友人まで効果が波及するという話が要約者には印象に残った。異なる状況にいる人が読めば、別の研究が印象に残ることだろう。
本書を手にとって、100個のなかからお気に入りの話題を見つけ、たくさんの発見をしてもらいたい。

本書の要点

・本書は「人間関係学」の研究者でもある著者が、人間関係にまつわるさまざまな研究を100個紹介する本である。「人間関係学」とは、心理学、社会学、教育学、文化人類学、コミュニケーション学など、人間にまつわるさまざまな分野の研究を含むものである。
・人間は自分自身の外見、能力、魅力などあらゆることにおいて、「少なくとも平均点よりは上」と思っている。
・幸せな気分は、友人の、その友人の、さらにその友人まで幸せにさせる効果がある。



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