レビュー
「ニューソート思想」という言葉がある。これは19世紀後半からアメリカを中心に流行していった思想で、これまでのキリスト教の思想とは異なるという意味で「New Thought(新しい思想)」と名付けられた潮流だ。
著者である中村天風は、こうしたニューソートにヨガなどの東洋思想を組み合わせ日本に紹介した人物であり、ニューエイジの先駆者と捉えることができるだろう。心がすべてを決めるという思想は、現代の感覚からすると、ともすれば非科学的に聞こえてしまうかもしれない。しかしニューソートはキリスト教の批判を契機にし、それを引き継いだニューエイジもまた現代文化への批判としての側面を強く持っている。
現代という時代は、物質的なもの、肉体的・社会的な欲望を追求することで、消費を生み出すサイクルによって駆動されている。こうした状況にいかに向き合うかを考えるとき、中村天風の言葉はきっとヒントを与えてくれるだろう。
本書の要点
・幸福も不幸も、すべてを決めているのは人間の心である。自分の感じる世界を変えていこうとするならば、心を変えていかなくてはならない。
・消極的な心を持っていると、現実さえもよくないものに思われてくる。どのような状況でも自然に積極的な心を保てるようになることこそが幸福への道である。
・言葉の力は大きい。消極的な言葉ばかり使っていると、心も消極的になってしまう。積極的な言葉を使っていくことで心を前向きにすることが、人生を幸福にしていくことにつながる。
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