レビュー
あなたは宇宙のことをどれだけ理解できているだろうか。惑星の名前くらいしか知らないという人でも、ダークマターという名前を聞いたことがある人でも、ぜひ一度この本を手にとってほしい。
直感的にわかりやすいように、様々な点が工夫されている。たとえば、すごく遠くにある天体の化学組成について、建物の「ビル」のモデルを使って説明している。時空の歪みについては、その補正がGPSの位置サービスで重要な役割を果たしているといったように、実用性を絡めた紹介もしている。前の章から読んでいって理解できない点にぶつかっても、通読してみるとわかるようになっているから不思議だ。
この本はそれだけでは終わらない。こうした宇宙の知識を得た視点で人生や社会を眺め直してみると、いろいろなことが違って見える、という実践にもなっているのだ。それこそがタイトルにある「宇宙思考」であり、この本が広く読まれるべき大きな特徴でもある。
学問の入門書としても、視野を広げていくためのライフハック本としても、価値のある一冊だ。著者はTikTokはじめSNSでも「宇宙思考」を展開しているので、あわせてその著者の視点、世界観を楽しみ、エンパワメントされる体験をしていただきたい。
本書の要点
・宇宙の歴史138億年を1年に圧縮した「宇宙カレンダー」で考えると、人間1人に与えられた時間は0.2秒である。
・時空には制限速度があり、私たちは、時空内を「最高スピード(=光速)」で進んでいる。そして空間を動く人は、動いていない人に比べて、時間の進み方が遅くなる。
・1975年には多くの科学者がその存在を信じていない理論上の仮説であった「ブラックホール」は、様々な観察結果により「科学知識」となった。
・私たち人間は宇宙のほんの一瞬しか生きられない。でも、その一瞬一瞬の輝きが繋がって、宇宙の歴史や最期を予想できるようになった。
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