レビュー

子育てというのは身近なのに複雑だ。本屋に行けば子育てに関する本は何冊も棚に並んでいるし、テレビでも芸能人や専門家が子育てのなんたるかをよく説いている。

しかし、そうした情報はどこまで信じていいのだろうか。人は誰しも自分の経験から教育を語りがちである。「私はこうして育った」「こういう教育方法に効果があった」。そうした個人の経験則に依拠する方法の中には、他の人にとっては役に立たないものも少なくない。それどころか、科学的に見れば逆効果であるものまで含まれている。
そこで本書が紹介するのは、「科学的子育て」である。本書の子育て論の大きな柱となっているのは科学、とりわけ脳科学と心理学である。科学的に効果が確認されているものだけを紹介することで、客観的に根拠のある方法を実践することができるのだ。もちろん、科学的に効果が確認されているからといって、誰にでも効果があることが約束されているわけではない。それでも、主観的な経験をよりどころにした子育て論をいくつも試すよりも、まずは「科学的子育て」を実践してみたほうが、自分の子どもに合った方法を効率的に見つけることができそうだ。「実はダメな子育て」を避けることにもつながるはずだ。
教育者として経験豊富な著者の温かい目線を感じながら読み進めることのできる本書は、子どもと関わる多くの人にとって役立つことだろう。

本書の要点

・世の中にはいろいろな子育てがある。けれどもそれらのなかには、一見有効そうに見えても、効果がないものや、むしろ逆効果のものまで含まれている。脳科学や心理学といった科学を根拠に客観的なアプローチを子育てに取り入れることで、ダメ育児を回避しやすくなる。
・人間の脳には理性を司る部分と感情を司る部分がある。子どもが癇癪を起しているときは、感情を司る部分が活発なので、まずは落ち着かせてから適切な指導をするべきだ。
・現代の子育ては求められるものが多く、それでいて孤独だ。親もしっかりとメンタルケアをし、ストレスとうまく付き合った上で子育てをより良いものにしていきたい。



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