レビュー
コロナ禍をきっかけに、働く人の「幸せ」について考える機会が増えたように思う。本書のテーマである「ウェルビーイング」という言葉も身近なものになった。
働く理由や目的は人それぞれだが、「幸せに働きたい」というのは万人共通の願いだろう。本書の著者のひとり、前野マドカ氏は幸福学の研究者である。パートナーの前野隆司氏は、日本の幸福学研究のパイオニアだ。両氏は幸せのメカニズムについて研究し、幸せになるための実践的な知恵を科学的に明らかにしようとしてきた。
共著者で、株式会社ポーラの社長である及川美紀氏は、同社の経営理念にある「永続的幸福」の追求のため、「ポーラ幸せ研究所」を立ち上げ前野氏らがアドバイザーとなった。長年ポーラの現場を見てきた及川氏は、「いいチームをつくることは幸せに近づくこと」だと語る。
本書では、ポーラの大規模な調査研究で見えてきた、「幸せで、かつ成果をあげるチーム運営」の秘訣が余すことなく紹介されている。それらが凝縮された「幸せなチームづくり7か条」は、経営者やリーダーはもちろん、「幸せに働きたい」と考えるすべての方にとって有用なものだ。組織やチームのパフォーマンスと個々人の幸せの両方を追求するために、幸福学に裏付けられた知恵を役立てていただきたい。
本書の要点
・組織運営で最も大切なのは、働く人や社会の「幸せ」を追求することである。
・幸せは「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」という4つの因子からできている。個々の因子をバランスよく高めることで、幸福度を高められる。
・幸せで、かつ成果の出せるチームをつくるリーダーには共通点がある。リーダーがメンバーの主体性を尊重し、相手の立場に立って考えることは、幸せなチームづくりに欠かせない。
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