レビュー

感情とはいったい何だろうか。心理学者ロバート・プルチック氏の「Wheel of Emotions(感情の輪)」のモデルによると、大きく分けて52種類もの感情があるという。

喜び、不安、怒り、モヤモヤ、切なさ。湧き出てくる感情をコントロールするのは難しいものの、ネガティブな感情には振り回されたくない。メンタルをラクにして穏やかに生きられたらどんなによいだろうか。
こんな悩みを持つ方に向けて、よりよく過ごすための「セルフケア」を教えてくれるのが本書だ。実は、ネガティブな感情も生存のために獲得した重要なものだという。ただし、その感情は間違いだったり過剰だったりすることも多い。だからこそ、感情が下した評価を正しいかどうか再評価する必要がある。本書では、その再評価を「モニタリング」と表し、そのプロセスや、具体的なケース、モニタリングがうまくなるワーク、セルフケアの処方箋を解説している。
著者の内田舞さんは、ハーバード大准教授・脳科学者・精神科医・3児の母の顔を持つ。科学的な知見に基づいた、日常に取り入れやすい処方箋を、優しい語り口で教えてくれる。一見すると「簡単そう」と思うかもしれない。だが、苦しみの渦中ではなかなか実践するのは難しい。
「気負わず、自分に合うセルフケアを試して、穏やかに過ごしてほしい」という著者の願いが、本書には一貫して流れている。
ときどき心がパンクしそうになる、モヤモヤが続くという方に、「自分に優しく向き合うためのヒント」が詰まった本書をいち早く届けたい。

本書の要点

・感情に振り回されて苦しくならないように、「再評価」という手法がある。いま抱いている感情が本当に正しいのかを客観的に見つめ直すことで、心の平穏を取り戻す方法だ。本書では「モニタリング」と呼ぶ。
・モニタリングのプロセスは次の4つから成る。自分の感情に気づく、感情を言葉にする、感情の背景を分析する、行動する、である。
・モニタリングが得意な人は、その下地として「自尊心」と「オーナーシップ」を持ち合わせている。



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