レビュー
職場で「自分の意見」をうまく言えない――。アイデアが閃いても自分の言葉で表現できなかったり、周りに受け入れてもらえるか自信がなくてのみ込んでしまったり。
著者の深沢真太郎氏は、数字に強く論理的な人を育成する「ビジネス数学」を提唱し、数学でビジネスや生活の悩みを解決するための独自メソッドを提唱している。著作は30冊を超え、ソフトバンク、三菱UFJ銀行、プロ野球球団、トップアスリートなど、多くの企業・団体や個人に向けて研修も行っている。
本書は、コンビニスイーツの開発をする若きビジネスパーソン・久保進士が、軽井沢のカフェで出会った数学者・駒田恵子から「思いつきを論理的に説明する方法」について学んでいくストーリー仕立ての一冊だ。思うことはあるのに意見をうまく言えない進士のビフォーアフターを描くことによって、読者も一緒になって学ぶことができる。
考えを論理的に整理することが苦手、上司からの「根拠は?」というツッコミが怖い、「なんとなく」で答えてしまう……。本書ではそのような人を対象に、どう根拠を揃えて論理を組み立てるのかを一から丁寧に教えてくれる。
ビジネスパーソンにとって、上司や顧客に論理的に説明するスキルは欠かせない。仕事で何らかの意見を求められる機会がある人は、ぜひ一読いただきたい。
本書の要点
・数学とビジネスコミュニケーションは「根拠のある説明が求められる」という点が共通している。
・論理は、1つのテーマを3つの塊と2つの矢印でつくられる「1―3―2」の図で説明することができる。
・コミュニケーションがうまくいかないのは、相手と「前提」が共有できていないからだ。「前提」には「言葉の定義」と「立場の定義」がある。
・根拠は「裏付け」と「事例」で成り立つ。ビジネスにおける裏付けは、数値の比較を用いることが多い。
・数値を使うときは、相手の心に伝わる「エモい数値」を選ぶべきだ。
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