レビュー

著者は本書の冒頭で、2つの質問を投げかけている。「あなたは、会社で働くのは『楽しい』ですか?」「あなたが会社のリーダーや経営者であれば、あなたの組織のメンバーは『楽しい』と思って働いていますか?」
人は、自分がやることを自分で決定できるときに「幸せ」を感じるとされる。

この点を念頭に、著者は現場で働くのが楽しくなるための技術を体系的にまとめあげ、そのキーワードに「自律自転」を掲げている。働くことが楽しいと感じる人が増えれば、企業の業績が向上する。そして、現場のメンバーは自分たちの力で事業をよい方向に変えている手ごたえを得ると、さらにやりがいを感じていく――。こうした好循環を生み出すのが「自律自転」である。
著者も、リクルート在籍時代にはつらい日々を送っていたこともあったという。だが、自己分析をへて、その原因が、仕事で工夫できる余地やアクセスできる情報が少なく、やりたいことを実現できていないからだと気づいたそうだ。本書では、著者自身の経験や、見聞きしてきた事例をもとに、5W1Hで「現場が動くマネジメント」についてひもといていく。
業績向上に直結する積み重ねは、会議ではなく、現場に潜んでいる。自律的に成果を出し、やりがいに満ちた組織やチームをつくりたい方に格好の一冊だ。

本書の要点

・全体最適な組織を目指す上でのキーワードが「制約条件理論」だ。
・望ましいマネジメントスタイルは、「トップダウン」と「ボトムアップ」の長所を活かした「ミドル・アップダウン」である。
・自律自転できる組織を生み出すためには、全員でゴールの認識を揃え、さらにそのゴールに関係する業務を行う必要がある。



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