レビュー
『進撃のドンキ』、書店で目に飛び込んできたこのタイトルに、思わず見入ってしまった。ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス (PPIH)は、売上高2兆円企業である。
ドンキといえば「ポップ洪水」「圧縮陳列」が知られているが、実は、仕入れも値付けも陳列も、個々の店舗の担当者が決めるという。「なぜ、これほど現場に任せ切って、しっかりと利益を上げ続けられるのか」。そんな疑問が生まれた。
著者は、ドンキ躍進の謎に迫るべく、日経ビジネス23年9月18日号でドンキの特集を送り出し、それが大反響を生んだ。本書は、「進撃のドンキ」完全版と呼べる400ページもの大著だ。読み進めると、ドンキの異色ぶりにぐいぐい引き込まれていく。まず、王道のチェーンストア理論の真逆を行く「逆張り戦略」をとことん突きつめている。さらには、まさに社名の通り、パン・パシフィック(環太平洋)を股にかけた海外事業展開を目指しているというのだ。その根っこには、創業者の安田隆夫氏が自ら記した小冊子「源流」がある。はたして、この源流とはどのような内容なのか? 要約で探ってみてほしい。
「全員主人公」「チーム経営」を強みの源泉とするドンキ。その快進撃の裏にある物語をじっくり味わってみてはいかがだろうか。
本書の要点
・ドンキは、アジアでゼロから新業態を立ち上げ、北米ではM&Aを駆使して店舗網を広げている。
・ドンキはチェーンストア理論の真逆を行き、現場に徹底して権限を委譲する「主権在現」の鉄則を貫いている。
・小売業はアミューズメントという考えのもと、面白い空間の創造を重要視している。
・創業者が自ら記した小冊子「源流」がPPIHの「真のCEO」である。
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