レビュー

会話中、言うつもりはなかったのに「つい話してしまった!」ということはないだろうか。話が盛り上がって「つい」「ポロっと」口から出てしまった、あのネタこのネタ。

その会話の相手は、間違いなく「聞き上手」である。
本書の著者・山田千穂さんは、そんな「聞き上手」のお手本のような人である。渋谷109の販売員から週刊誌の記者に転身した異色のキャリアの持ち主で、109時代は1日500万円を売り上げたこともあるという。記者時代はのべ3000人以上に取材し、数々のスクープを取り上げてきた。
販売員と記者。両者は異なる職種だが、成果を上げるためには「相手の心を開く」必要があるという点で共通している。本書では著者が培ってきた「この人なら話してもいい」「この人から商品を買いたい」と思わせるテクニックが、109のコツとして紹介されている。
要約者が真似したいと思ったのは、相手の小さな変化に気づいてそれをすぐに伝えるというものだ。髪型が変わった、ファッションがいつもと違う、体調が悪そう、怪我をしている……など、ポジティブな変化もネガティブな変化も、気づいたら相手にすぐ伝える。どんなことでも、自分に興味を持ってくれるのは嬉しいものだ。そんな小さな行動が、相手の心を開くきっかけとなるのだろう。
本書のテクニックは、ビジネスシーンで使えるものも多い。
とくに、顧客の本音を引き出したい営業職や販売職、部下との1оn1に悩むマネジャー層は、役立つものが必ず見つかるはずだ。

本書の要点

・初対面の人から本音を聞き出したいときは、会話の糸口を3つ以上用意しよう。
・話題を振っていないのに相手から質問されたら、それは「自分にも同じことを聞いてほしい」という合図である。
・会話の中で決め事が生じたときは、相手に決定権を渡すとメリットを感じてもらいやすい。
・不快な思いをさせずに踏み込んだことを聞きたいときは、「間接質問」をするといい。
・「なぜ」という言葉には圧迫感がある。「どうしたら~ですか?」と言いかえて聞くようにしよう。



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