レビュー
「なんで自分だけうまくいかないんだろう」「みんなみたいにちゃんとできない自分がイヤ」。
そんなふうに感じたことがあったら、本書をおすすめしたい。
悩みがあるときや心にしんどさを抱えているときは、「こんな悩み自分だけかもしれない」と思いがちだ。しかし、本書によれば、日本ではおよそ5人に一人が生涯に一度、心の病気を経験するという。つまり、「私だけかもしれない」と感じている悩みは、多くの人も経験していることなのだ。本書の著者、心理カウンセラーのきい氏も、心の病気を経験したことがある。きい氏は、強い「ネガティブ思考」ゆえに、頻繁に悩み苦しんでいたが、「心」について学ぶうちに、多くの人が「共通の見えない悩み」を抱えていることを知ったそうだ。そんな著者は、生きづらい人は考え方にクセがあるだけで、本人に落ち度があるわけではないと呼びかける。この言葉だけでも、悩んでいる心が少し軽くなる気がする。
本書では、55項目の陥りやすい「苦しい心の状態」が紹介されており、かわいいたぬきの相談役が登場するマンガを交えて、自分の心の状態とそれから抜け出すヒントが掲載されている。自分にあてはまる項目があったら、そこを確認してみるといいだろう。
自分に対する考え方は、コミュニケーション時の相手への対応に現れる。自分の心がしんどければ、相手にも負荷をかけることになってしまう。「心のしんどさ」を感じているならば、ぜひ本書からヒントを得て、役立ててみてほしい。
本書の要点
・常に理想の状態に近づくため行動する「完璧主義者」は、思い描いた結果に終わらなければ、自分を責めて落ち込んでしまいがちだ。他人も自分も「ほどほどでいい」と思えるようになるとラクになる。
・相手からの評価を気にするあまり、自分の感情を抑え込むことはやめよう。自分の感情を後回しにすると、つらい状態に陥っていることに気づけなくなることもある。もっと「自分本位」で生きてよい。
・「恐怖」は生きるうえで不可欠な感情である。人が持っていて当然の10個の恐怖の中から、自分が何に恐怖を抱くのかを把握しておくと、自身を扱いやすくなる。
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