レビュー
本書のタイトルにある「人事ガチャ」という言葉を見て、苦い記憶が蘇ってきた……そんな人も多いだろう。特に入社まもない若手ビジネスパーソンにとって、配属はまさに「ガチャ」である。
さて、そんな「人事異動」について、あなたはどの程度知っているだろうか。試しに、次の問いに答えてみてほしい。
(1)人事異動は誰が決めている?
(2)ハイパフォーマー、ローパフォーマー、ミドルパフォーマーのうち、直属上司からの目配りが乏しくなりがちなのはどの階層の人?
(3)(2)の人たちにとって、目配りされないことのデメリットは?
どうだろう。意外と確信をもって答えられない人も多いのではないだろうか。
本書は、パーソル総合研究所シンクタンク本部にて上席主任研究員を務める藤井薫氏が、人事異動のからくりを明かした一冊だ。まずは若手社員の配属パターンを6種類に分け、それぞれの特徴を解説した後、あなたの人事異動の命運を握る人は誰か、人事異動の文脈において上司から目配りされないのはどのような人たちか、目配りされないことによる弊害とは……など、異動する可能性があるすべての人にとって興味津々の話題が目白押しだ。
純粋に人事異動の裏側を知りたい人はもちろん、自分の進む道をより明るいものにしたい人に、ぜひ手に取ってほしい。
本書の要点
・異動配置に関する著者の調査によると、調査対象のうち3分の1の会社が「10年間で3部署経験させる」方針を採用していた。
・あなたの異動のキーパーソンは、人事部ではなく直属上司だ。ある調査によると、人事部が人事異動案を作る会社は全体で3割にとどまっていた。
・人事異動において、ミドルパフォーマーは目配りされない傾向にある。ミドルパフォーマーにとって大切なのは、40代半ばまでに、それ以降も管理職に伍してプロフェッショナルとして通用する専門能力を身に付けておくことだ。
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