レビュー
目的のないビジネスはない。あらゆるビジネスには、なんらかの目的が掲げられている。
だが待ってほしい、果たしてそうした態度を取ることだけが正義なのだろうか――そう本書は問いかける。私たちは目的をスピーディに達成すべく、過去の知識のデータベースから、物事を単純化して捉え、きっぱりと言い切ることを好む。とりわけビジネス環境ではそうだ。だが、そうした考えだけでは、変化の激しい時代には対応できなくなるかもしれない。
そこで著者はこう提案する。目的と知識に囚われたレンズを外すことで、物事を俯瞰してみませんか、と。これが本書のタイトルにもなっている「裸眼思考」につながっている。「急がば回れ」ではないが、物事を単純化した末にたどり着くのは、やはり単純化されたゴールだ。より本質を捉えるためには、裸眼で見るというモード「も」同時に獲得する必要がある。
ビジネスにおける目的思考の重要性を知り尽くしている著者だからこそ、「それだけでは今後やっていけない」という言葉には、たしかな実感と説得力がある。
本書の要点
・私たちは、「目的」「知識」という2つの強力なレンズを通して世界を見ている。だが時には、ありのままを見つめるために「裸眼」にならなければならない。
・「裸眼思考」は、「知覚」「保留」「記憶」の3ステップからなる。
・意図的に「知覚」することで、「感覚」のズレを補正することができる。
・強いリーダーシップが行き過ぎると、「全能感」という副作用に見舞われる。知覚したことをすぐに解釈せず、「保留」しておくことも必要だ。
・保留しておいた問いは、忘れないように「記憶」しよう。その際は感情に流されず、客観的に眺めることが肝心だ。
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