レビュー

努力を継続するのは簡単なことではない。資格や英語の勉強、筋トレやジョギング、早寝早起きに健康的な食生活、部屋の整理整頓……という文字列を見ただけでも、過去の挫折の数々を思い出してつらくなってしまう人も多いだろう。

本書はそんな人に勧めたい一冊だ。
著者の山根承子氏は行動経済学を専門としており、大学教員を経て、企業や自治体に行動経済学のコンサルティングを行う法人の代表を務めている。本書ではそんな山根氏が、行動経済学の知見を活用して「今よりラクに努力できるようになる」方法を教えてくれる。
「努力が続かない」「習慣化が苦手」「何でも三日坊主になってしまう」と悩む人が特に注目したいのは、「努力が勝手に続く」仕組みを解説しているパートだ。フィードバック・フィードフォワード・自動化・教育の4つをキーワードとし、意志の力に頼ることなく、望ましい行動を継続できる方法がまとめられている。
また「自分は意志が弱い」と思っている人にとって朗報となるのは、その自覚こそ行動の改善に不可欠であるという指摘だ。意志の弱さを自覚している人は努力を続けるために手を打てるが、自覚のない人はそもそも工夫のしようがないからである。
「努力は仕組み化できる」というタイトルに心惹かれたなら、ぜひ本書を手に取ってほしい。「つらいけれど、頑張るしかない」と歯を食いしばって取り組んでいた行動が、自動的に続けられるようになるはずだ。部下・後輩や子どもなど、誰かの努力を応援したい人にも一読を勧める。

本書の要点

・努力が勝手に続く仕組みを構築する際には、フィードバック・フィードフォワード・自動化・教育が重要なキーワードとなる。
・周囲の力を用いれば、行動変容しやすくなる。

仲のいい友人と一緒に取り組んでみよう。
・「自分は意志が弱い」という自覚があれば、誘惑に負けないための工夫ができる。特に、将来の自分の行動をあらかじめ縛っておく「コミットメント」(宣言)を活用するのがおすすめだ。



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