レビュー

「毎日忙しく働いているのに、なぜか成果が出ない」「仕事に追われて自分の時間が持てない」。日本ではすっかり定番になってしまったこんな悩みに対して、本書はドイツの視点からアプローチする。


本書の著者である西村栄基氏は、日本で働いていた新人時代、早朝から深夜まで働き詰めでありながら、成果が得られない環境に苦しんでいたという。そんな景色が一変したのは28歳でのドイツ初出張時、ドイツ人の働き方を目の当たりにしてからだ。夕方にはオフィスから人が消え、有休消化や長期休暇も当たり前。それなのに顧客の厳しい要求にも納期通り対応し、日本よりも高い給与水準まで実現している。こうして著者の「ドイツ人の働き方」研究が始まった。実際、ドイツの労働生産性の高さはさまざまなデータで明らかになっている。その背景にあるのは、本書で紹介される原則「ドイツ式働き方」だ。
ドイツ式働き方を取り入れる方法の一つひとつは、とてもシンプルだ。しかし、実践することができれば、たしかに生産性が上がるだろうと思える内容だ。基礎的な原則を徹底し、仕事の質を上げようとするドイツ式の働き方の姿勢からは、プロフェッショナリズムが感じられる。日本のビジネスシーンでも、参考にできる点が多いだろう。
限りある人生を豊かに生きるために、効率的な働き方への転換を目指したいと願う人に、本書をおすすめしたい。

本書の要点

・有給休暇と、週休2日と祝日を合わせると、ドイツ人は年間約140日休んでいることになる。長期休暇を取る人も多いが、それでも高い生産性を保って組織を運営する仕組みが整っている。
・ドイツ人の働き方のうち、まず取り入れたいのは「早起き」と「整理整頓」だ。
・ドイツの業務プロセスには、「明確な文書化」という特徴がある。業務マニュアルが整備され、進捗も共有されているので、休みも取りやすい。



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