レビュー
頭のいい人が説明すると、簡単な報告はもちろん、複雑に入り組んだ事象でもスッキリ伝わり、聞き手はすぐに行動や意思決定ができるものだ。そんな「頭のいい説明」ができるようになりたい人にとって、本書は必読書である。
本書の著者、鶴野充茂氏はコミュニケーションの専門家だ。国連機関やソニーなどでキャリアを積んだ後、ビーンスター株式会社を創業し、経営者やリーダーを対象としたコミュニケーションのアドバイスやトレーニングを提供している。鶴野氏のノウハウが詰め込まれた本書は2008年に刊行され、60万部を超えるベストセラーとなっている。
「頭のいい説明」というと、地頭がいい人だけの特殊スキルで、自分にはとうていマスターできないと思う人もいるだろう。そんな人にこそ本書を勧めたい。本書のノウハウはどれも意外とシンプルで、活用例もわかりやすく示されているからだ。
本書で鶴野氏は、ビジネスにおける説明の目的は「仕事で結果を出すこと」だと断言したうえで、「結果を出す」説明の基本構成を「相手に心の準備をさせる」「客観的な『出来事』を伝える」「自分の『解釈』を伝える」「『お願い』をする」の4つに整理している。「基本構成と言うけれど、自分は全然できていないな」とドキッとした人も多いのではないだろうか。
「仕事で結果を出す説明」を身につけ、ビジネスパーソンとしてレベルアップしたいなら、最初の一冊として本書をぜひ読んでほしい。新人研修などのテキストとして活用するのもおすすめだ。
※書影は「知的生きかた文庫40周年記念限定カバー」です
本書の要点
・ビジネスにおける説明の目的は「仕事で結果を出すこと」だ。この目的意識の有無で、説明の効果は大きく変わる。
・「話を聞こうという心の準備」ができていないときに情報を提供されても、聞き手はなかなか理解できない。説明の最初に話の種類を伝えつつ、聞き手と歩調を合わせる話し方をして、相手に心の準備をさせよう。
・メールでの報告は、リマインド言葉→現在地→方向性の三段構成にすると伝わりやすい。
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