レビュー

「日本一バズるアナリスト」。そんな異名を持つ経済アナリストの馬渕磨理子さんが、金融市場や投資の原理原則や重要な指標を解説したのが本書だ。


本書は、経済学の観点から株式の世界を俯瞰し、フラットな視点で堅実に投資する方法を伝授する。株式投資の「仕組み」を理解すれば、株価の動きを予測し、景気の動向を先読みする力が自然と身についていく。馬渕さんは、株価の動きのメカニズムを理解するには、経済学のトレンドを株価と結びつけて考えることが重要だと語る。解説は非常に明快であり、読み進めるにつれ、目先の株価に一喜一憂せず、冷静に判断する視点が養われていく。
本書は決して単なる投資指南書ではない。経済学の歴史や学派の思想を丁寧に解説し、投資がいかに社会や自分自身の成長と結びつくかを示している点が新鮮だ。さらに、投資を通じて、自分がその大きな流れの一部であることを再発見できる。世界の目まぐるしい情勢、苦境を乗り越えようとする企業の努力――そうした動きが、金融市場の仕組みを知ることでより深く理解できる。投資は人類の発明品であり、自らの成長をも促すものだという、新しい価値観に出会える一冊である。
新NISAが開始され、投資はますます身近なものになった。投資の旅に出るならば、本書のような信頼できる羅針盤を携えることで、有意義な航海ができるだろう。堅実に利益を出したいすべての人に、本書を強くすすめたい。

本書の要点

・日本も長らくデフレに苦しめられていたが、値上げを受け入れる覚悟ができれば、国もインフレへと舵を切ることができる。いまこそ株式投資をはじめるチャンスだ。
・その時代の経済学と市場の仕組みを結びつけると、株式投資をもっと身近に感じることができる。サプライサイド経済学はオイルショックの影響で停滞を余儀なくされたものの、現在再び注目されている。
・景気の流れを読むために理解しておきたい主要な指標は、GDP、日銀短観、景気動向指数、鉱工業生産指数の4つである。



フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。

編集部おすすめ