レビュー

日本がいま、解くべきイシューとは何だろうか。この問いのもと、私たちが直面する課題を鋭く分析し、具体的な解決策を端的に提示する――。

それが『大前研一 日本の論点2025-26』である。本シリーズは毎年「年末の定番書籍」として好評を博し、累計40万部を突破している。著者の大前研一氏は、豊富な知見をもとに国内外の最新動向を読み解いていく。
2024年は、台湾総統選、アメリカ大統領選、東京都知事選など、世界的に重要な選挙が相次いだ。注目すべきは、トランプ前大統領の圧勝による劇的な返り咲きである。ウクライナや中東での紛争が続くなか、トランプ氏の復権によって、世界情勢にどんな変化が起きているのか。世界的な右傾化トレンドを止める手立てはないのだろうか――。大前氏は、こうした課題の本質に迫っていく。
本書では、日本編と海外編に分けて、国内外の現状を知るうえで欠かせない26のトピックが紹介されている。とりわけ日本編では、人口増加に頼らない地方活性化の「逆転の発想」や、国民皆保険制度の維持に向けた提言、日本の「GDP世界第4位転落」に象徴される経済停滞の打開策など、読みどころ満載だ。
本書の魅力は、大前氏ならではの、本質を突いた実践的なソリューションの提示にある。気になるテーマから読み進めてもいい。
読後には、国内外のイシューが整理され、自分たちのビジネスの未来を切り開くヒントを得られるだろう。

本書の要点

・少子化対策だけでは地方の衰退は止まらない。経済的に余裕のある高齢者の移住促進や観光産業の振興など、新たな視点で地方再生を図ることが重要である。
・国民皆保険制度の持続可能性を確保するためには、オンライン診療の活用、保険適用範囲の見直し、病院の経営効率化など、大胆な制度改革が求められる。
・トランプ氏の復権に象徴される右傾化の波に対し、日本は教育によって国民の政治リテラシーを向上させる必要がある。



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