レビュー
仕事で忙しかった日は、お腹が空いているはずなのに、何を食べるか決まらずコンビニをうろうろしてしまう。
健康のためにジムに通おうと思うものの、延々と情報収集ばかりしてしまい、いつまで経ってもどのジムに入会するか決められない。
本書はそんな人に読んでほしい一冊である。
著者の堀田秀吾氏は明治大学の教授で、言語学や法学、社会心理学、脳科学といった複数の領域を融合した研究を行っている。科学的根拠に基づいた知見を一般向けにわかりやすく解説する力が支持され、『科学的に元気になる方法集めました』や『図解ストレス解消大全』などがベストセラーとなっている。
本書は、「人は1日に約3万5000回もの決断をしている」というデータを軸に、なぜ私たちは「決断疲れ」してしまうのか、「決断疲れ」を避けるにはどうすればいいのかを科学的に教えてくれる。あえて短時間で決める、選択肢を絞る、決め方のルールを事前に決めておく、不安を紙に書き出す……どれもシンプルで、すぐに取り入れられる習慣ばかりだ。
さらに興味深いのは、「自分で決めた」と感じる「自己決定感」が幸福感に強く影響する、という指摘だ。決断の結果にこだわるより、「自分で決めたことだから」と納得して、どんどん前に進んでいきたい。そう感じた。
本書は、日常のあらゆる場面で決断を迫られている現代人の心を軽くしてくれる。これ一冊読んでおけば、さまざまな決断を軽やかにこなせるようになるはずだ。
本書の要点
・意思決定やセルフコントロールといった行為によって「決断疲れ」が生じると、その後の作業における集中力やパフォーマンスが損なわれる。
・決断を楽にするには、時間をかけすぎないこと、選択肢を絞ること、行動をパターン化することなどが有効だ。
・「ホールネス」と「レジリエンス」の両方を備えることで、たとえ選択の結果が期待通りでなかったとしても、それを次なる成功の土台ととらえられるようになり、失敗への恐れが軽減する。
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