レビュー
あなたの「得意なこと」は何ですか? こう聞かれて、迷いなく答えられる人はどれくらいいるだろうか。
自己分析というと、過去の自分を見つめ直す、どこか大変な作業。
著者の澤円さんは、日本マイクロソフトの元執行役員で、「プレゼンの神」としても有名だ。そんな澤さんが、ご自身の経験を交えながら、「得意なこと」が自然と見つかる方法を、優しい語り口で紹介してくれる。本書の主眼は「行動」にあり、日常での小さな行動や他者との関わりから得られる“ゆらぎ”が、自分の「得意なこと」を発見する手がかりとなるという。また、他者からのポジティブなフィードバックに目を向けること、自分を多面的にとらえる「エイリアス」的な発想、まずは観察を大事にする「OODA」の実践など、今すぐ試せるヒントが詰まっている。
印象深いのは、澤さん自身の振り返りのエピソードが惜しみなく盛り込まれている点だ。「こんな経験があり、こんなふうに意味づけているのか」と、共感や発見に富んだ読書体験を味わえる。同時に、自己分析は過去を掘り下げるのではなく、自分を未来に探しにいくマインドで行えばいいと、心が軽くなる。
もう、自分探し迷子にはならなくていい。本書を読み、軽やかに生きていくことを意識すれば、「得意」があふれ出すはずだ。
本書の要点
・自己分析に疲れるのは、過去の失敗ばかりに目が向いてしまうからだ。本書は行動を通じて「得意なこと」を見つける視点を提示する。
・自分の「得意なこと」は他者の言葉や感謝の中に表れやすく、それに気づくには自分自身を意識的に観察し、振り返ることが大切である。自分の再発見には、「OODA」というフレームワークが役立つ。
・行動によって生まれる“ゆらぎ”が、新たな気づきや可能性をもたらし、変化の時代を柔軟に生き抜くヒントとなる。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に3,300タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。