レビュー

言葉になることで、こんなにもスッキリするものなのか――。これが本書を読んだ最初の感想である。


「ふたりで会う予定だったのに、知らない人がいる」「返信が来ないメールの文面を、何度も読み返してしまう」「推しの知名度が上がりすぎてしんどい」――。本書では、そんな言葉にならないけどたしかに存在する、118の状況と気持ちがずらりと並ぶ。
著者は『「言葉にできる」は武器になる。』などの著書を持つ、コピーライターの梅田悟司さんだ。「バイトするなら、タウンワーク。」「世界は誰かの仕事でできている。」といった数々の名コピーを生み出してきた言葉のプロが、今回はじめて「日常のもやもや」の言語化に乗り出した。
私たちの毎日は“もやもや”の連続だ。一瞬の違和感やいらだち、落胆、ジェラシー。それらは瞬間的に顔を出し、すぐにどこかへ流れてしまう。しかし、言葉にするまでもない、いや、言葉にすることをためらってしまうような些細な感情は、実はあなたの本心ではないだろうか。著者は、そんな小さくも大切な感情を丁寧にすくい上げ、一つひとつに言葉をあてがっていった。
空をつかむような感情に「言葉」という形を与えることで、人ははじめて「見えない敵」と向かい合えるようになる。本書を読んでスッキリするのは、そのせいなのかもしれない。

118のトピックは、どれから読んでもおもしろい。気になるタイトルのページを開くもよし、最初からじっくり読むのもよし。思い思いに楽しんでいただきたい。

本書の要点

・本書は、日常における「もやもやした気持ち」を言語化した一冊だ。形のない感情に言葉を与えることで、心のもやもやを整理することができる。
・クローゼットにはたくさん服があるのに、なぜか着たい服がない。
・体調不良で仕事を休んだ時、業務は滞りなく進んでいた。ありがたいことだが、少しさみしい気持ちにもなる。
・相手からメールの返信がないと、不安になって送信済みのメールを何度も読み返してしまう。



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