レビュー

編集者として活躍するかたわら、自身でも『パン屋ではおにぎりを売れ』『バナナの魅力を100文字で伝えてください』『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』などのベストセラーを連発する柿内尚文氏が、このたび上梓したのが本書だ。
テーマは、付加価値。

辞書を引くと、「生産過程で新たに加えられた価値。一定期間の総生産額から原材料費・燃料費などと減価償却費を差し引いたもので、人件費・利子・利潤の合計になる」「ある商品やサービスなどに付け加えられた、他にはない独自の価値」など、小難しい説明が並ぶ。著者はこの付加価値という概念を、「想定外の価値」「なくても成立するが、あることが喜びや感動を生むもの」と噛み砕き、易しい語り口と豊富な具体例で紐解いていく。
そこから見えてくるのは、付加価値は私たちにとって身近なもので、付加価値を生み出すのは難しくないということだ。さらに、付加価値は商品開発やマーケティングに留まらず、仕事も人生もうまくいくためのカギを握っている。SNSなどのテクノロジーによって、誰もが情報(=価値)の発信者になれるようになった今、付加価値とは何かを知り、付加価値を生む技術を身につける重要性は、これまで以上に増している。
最後に、次の問いを考えてみよう。
Q 揚げ物についているパセリの付加価値とは? 
Q 田舎にはスタバはないけど付加価値はある? 
――答えが気になる人は、要約を読んでほしい。「なるほど!」と膝を打つ付加価値が見えてくるはずだ。

本書の要点

・価値には既存価値、付加価値、不要価値の3つがある。付加価値は想定外の価値のことで、なくても成立するが、あると喜びや感動を与えることができる。
・付加価値という考え方は、商品やサービスを考えるときにはもちろん、仕事や人生にも取り入れるべきだ。

うまくいく人は、付加価値をつくることができる人である。
・付加価値は、視点を変えることでつくることができる。「ない」ものに囚われるのではなく、「ある」ものに注目するといい。



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