レビュー
インターネットの普及に加え、AIの急速な発達によって、私たちは莫大な量の情報に囲まれている。それゆえに、物事の「正しい」理解をすることはかえって難しくなっている。
科学とは、研究者たちがデータに基づいて相互に誤りをチェックし、修正を重ねることで信頼性を高めていくプロセスである。これを機能させるには、自分が正しいと思っていたことでも、確かな根拠に基づいて否定されたならば、誤りを受け入れて修正に応じる心構えが不可欠だ。そしてこれこそ、科学の正しさを特別なものにする科学的態度だ。
科学者も人間である以上、さまざまな認知バイアスにとらわれ、意図しないミスを犯すこともある。しかし、科学的態度を備えた複数の科学者たちがお互いにチェックしあうことで誤りは減らしていける。
この態度は、研究以外の場面、私たちの日常生活の中でも必要とされることだ。どの情報が正しいのかを判断するために複数の情報源を確認したり、他の人に意見を求めたりする。組織の意思決定の際に、リーダーの独断ではなく多様な立場の意見を取り入れる。こうした方法をとりながら、場合によっては自分の意見を修正する。こうすることで、正しい判断に近づくことができる。
本書の要点
・「科学的方法」や「科学であること」の厳密な基準は定めにくいが、科学的態度の有無で科学でないものを見分けることはできる。
・科学的態度とは、経験的根拠を重視し、新たな根拠に基づいて自説を改める意思をもつ姿勢である。
・科学は、科学的態度を共有する科学者たちが、互いの誤りを検証し、ミスや不正を修正する集団的プロセスである。
・信じたいことのみを擁護し、誤りを認めない姿勢は、科学的な態度ではなく、疑似科学である。
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