レビュー
「丁寧に教えているのに、なぜ部下に伝わらないのか?」――そんな悩みを抱えるすべての上司に、本書を読んでほしい。
著者は元教師にして、ランドセルメーカーの中国法人で80名の部下を率いた経験を持ち、現在は人材育成のプロとして活躍する北宏志氏だ。
かつての日本では、仕事は先輩の背中を見て覚え、根性論で部下を指導する時代も長かった。「教え方」を学ぶ機会も少なく、自分がかつての上司から教えてもらったのと同じ方法で人材育成している人も多いだろう。
ただ、もしかすると、Z世代にその方法は通じないかもしれない。それでは仕事が円滑に進まないばかりか、離職につながる可能性さえある。だからこそ私たちは、現代の部下たちが納得し、動き出すために必要なコミュニケーションや指導法を、体系立てて学ぶ価値がある。
本書には、現場で試行錯誤を重ねながら若手との信頼関係を築き、成果を上げてきた著者の「教え方」ノウハウが詰まっている。
最大の特徴は、すべてのトピックに「三流・二流・一流」の行動比較があること。例えば、「三流は思い通りに動かそうとし、二流は細かく確認し、一流は放任しつつ、緊急時に指示を出す」といった具合だ。自分はどのレベルにいるのかを自然に振り返りながら読み進められる構成となっている。
時間も労力もかかるかもしれないが、部下が育ったときの喜びはひとしおのはず。Z世代の部下を大切に育て、ともに成果を上げたいと願う方にとって、本書は頼れる一冊となるだろう。
本書の要点
・一流は、部下に教える前に「関係づくり」に取り組む。
・ハラスメントと言われるのを恐れ、ただ優しく伝えるのは三流だ。二流は論理的に必要事項を伝え、さらに上をいく一流は、自分の経験を交えつつ、相手が不安を抱きそうなポイントを先回りしてフォローする。
・表面的なほめ言葉に終わらぬよう、しっかりと部下を見て、行動ではなく「存在」そのものを承認するのが一流である。
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