レビュー

試験前で勉強しなくてはいけないときに限って、机の上のホコリが気になってしまう。なんとも落ち着かずに、掃除を始める。

こんなふうに、気乗りをしないことを後回しにしたり、勉強の前に掃除をしたくなるような現実逃避など、誰でも先延ばしを経験したことがあるのではないだろうか。
先延ばしがちょっとした失敗談であるうちはいいのだが、仕事や信頼関係に影響してくると事態は深刻だ。本人の気持ちの問題だと思われがちだが、先延ばしグセに一番悩んでいるのは本人であるというケースも多い。
そんな先延ばしグセの対策を解説しているのが、本書『先延ばしグセ、やめられました!』である。著者は、臨床心理士の中島美鈴氏だ。大人のADHDや時間管理、認知行動療法などに関する書籍を多数執筆しているほか、多くのメディアで活躍している。
中島氏は、時間管理の中でも、悩みが多いのが先延ばしだと指摘する。先延ばしは、本人の意志の力だけに頼ると解消は難しい。課題をやり遂げるための仕組みをつくることが大切だ。本書では、自分が先延ばしをしてしまう原因を把握し、それぞれに合った仕組みづくりを紹介している。タスクをこなすための「行動計画書」を作成することで、行動がより具体的になっていく。
自分の先延ばしグセに悩んでいる方は、自分を責めて傷つける前に本書を手にとっていただきたい。
まずは簡単なチェックを行い、自分の先延ばしタイプを知ることで、きっと解決の糸口が見つかるはずだ。

本書の要点

・人には、「報酬遅延勾配」という傾向がある。そのため、時間的に遠くにあるタスクを達成した達成感や解放感よりも、すぐに解放感を得られる先延ばしのほうが魅力的に感じるのだ。
・めんどくさいタスクを遂行するためには、4つのステップで「行動計画書」を作成し、行動を明確にするといい。
・簡単なチェックで、6つの先延ばしタイプから自分を知ることができる。自分が先延ばしをする理由を知ることで、それぞれに応じた対策を立てることが可能になる。



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