レビュー

部下に仕事を任せようとしても、結局自分でやったほうが早いと感じてしまう。なぜなら、任せてうまくいったためしがないからだ。

結果として、仕事を抱え込んで苦しくなってしまう……。そんなプレイングマネジャーに、本書を手に取ってもらいたい。
著者の加藤定一氏は、フィリップ モリス ジャパンおよびその前身企業にて、約11年間にわたって人材育成に従事した人物である。現在は企業研修講師・組織コンサルタントとして、多くの企業に実践的な研修を提供している。
「仕事を任せる」といっても、「お願いね」と伝えるだけで終わってはならない。本書では、仕事を任せることを「部下育成」と位置づけ、(1)自分の仕事を分析する、(2)任せる仕事を決める、(3)任せる部下を決める、(4)仕事を任せる、(5)業務遂行状況を把握する、(6)業務遂行に介入する、(7)成果確認と評価面談準備、(8)評価面談で育成する、という一連の流れを、8つの章で丁寧に解説している。任せる前の準備から、任せるときに伝えるべき13の項目、任せた後のフォロー、成果の評価と育成までを体系的に学べるため、「任せてもうまくいかない」という負のループを断ち切るヒントが得られるだろう。
悩めるすべてのプレイングマネジャーに、本書をおすすめしたい。読み終えたとき、仕事を任せることへの不安や抵抗が薄れ、自分がいなくても回るチームを作る勇気と方法が手に入っているはずだ。

本書の要点

・自分の業務を「緊急度」と「重要度」の2軸で分類して生まれる4種類の仕事のうち、部下に任せるべき仕事は、「重要で緊急な仕事」と「緊急だが重要ではない仕事」の中にある。
・部下に仕事を任せる際は、13の項目を記載した「戦略的業務指示書」を作成する。その目的は、部下の育成である。


・部下が成長するかどうかは、仕事を任せた後の上司の関わり方による。「問題解決支援コーチング」を展開しながら、業務遂行の状況を的確に把握し、必要な場合は介入し、部下の業務完遂をサポートしよう。
・業務遂行後は、必ず評価面談を行うべき。この面談こそが、部下を動機づけ、成長させる最重要アクションであり、これによって「部下を育成する戦略的業務指示」が完成することとなる。



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