レビュー

ゲームキャラクターの体力を表すHP(ヒットポイント)。スタート時は100%の満タンだが、敵に攻撃されるたびに少しずつ減っていき、ゼロになると戦闘不能となってしまう。


この現象はゲームの中だけでなく「現実世界にも通じる話」だというのは、本書の著者で心療内科医の鈴木裕介氏である。著者のクリニックには日々、「心のHP(=エネルギー)」をすり減らした人が訪れる。彼らに共通しているのは、“敵”の攻撃からどう身を守るか、そして自分のHPをどう回復すればいいのかわからない点だという。本書では、「心のHP」がゼロになる前にすべきこと、そして、そもそもゼロにならないようにするためのノウハウを、ステップ・バイ・ステップで紹介していく。
タイトルに「HP」というゲーム用語を入れている背景には、著者のある思いがある。それは、ゲームをはじめ、アニメや小説や音楽などの「コンテンツ」には、人の心の支えになる力があると考えるからだ。つらい時、キャラクターのセリフや小説の一文が支えになったことはないだろうか? 著者自身も「ドラゴンクエスト」や、そのキャラクターの言葉に救われた経験を持つ。本書も誰かの心を支える「コンテンツ」になってほしい――。そんな願いを込めて、時折ゲームネタを絡めながら、ポップにメンタルヘルスについて解説している。
誰もが心の病にかかりそうなこの時代。本書を通じて、メンタルヘルスの知識をインストールしてはいかがだろうか。

本書の要点

・幼少期に関わる大人が「安心感を与えてくれない存在」であると、他者を信頼できなくなり、自分より周りのニーズを優先するようになる。

人生がしんどいのはそのせいで、決して本人のせいではない。
・生きづらさから抜け出すには、まず徹底的に「自分を知る」必要がある。
・不幸には「型」がある。生きづらい人は「べき思考」「反芻思考」「自責思考」といった「型」に陥っていることが多い。
・ネガティブな感情をコントロールできないときは、「心のHP(エネルギー)」がすり減っている状態にある。何をおいてもまず、心のHPの回復に努めてほしい。



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