レビュー
「これは自分の考えだ」と思っていたことが、実は周囲や社会の影響を受けたものであったと、後になって気づくことはないだろうか。たとえば要約者は、「人に頼らず、自立して生きるべき」と考えていた時期があるが、その頃はちょうど、日本全体が自己責任論で覆われていた。
本書のタイトルにある“呪い”とは、その時代や社会に漂う空気であり、どこからともなく流れてくる他者の言葉である。SNSやメディアを通じて、誰かの強い言葉が常にこだましている現代は、“呪い全盛期”といっても過言ではない。「日本はすでに三流国」「人生はガチャ」「○○はオワコン」などは、その代表だ。真偽は不明でも、断定的な言葉で語られると気になってしまい、なんとなくそれが正しいような気がしてくる。“呪い”は、好むと好まざるとにかかわらず、私たちの脳内にするりと入り込んでくる。
本書は、そうした現代日本にはびこる“呪い”を取り上げ、「本当にそうなのか」を検証していくという、実にチャレンジングな一冊だ。著者は、人気サイエンスライターの鈴木祐氏。これまで時間、運、適職、才能、長寿といった多種多様なテーマを取り上げ、科学的な知見に基づいて解き明かしてきた。
現代は、事実や真偽よりも、耳あたりのよいフレーズや感情を煽る過激な論調がもてはやされる傾向がある。「自分は間違った情報に踊らされたりはしない」と思っている人ほど、実は要注意だ。その思い込み自体が、すでに“呪い”にかかっているのかもしれない。
本書の要点
・本書では「他者のメッセージが持つ強い影響力」を“呪い”と呼ぶ。“呪い”はもっともらしく聞こえるが、実は根拠があいまいで、誤解に基づく思い込みによるものが多い。
・「1人あたりGDP」の低下をもとに国の豊かさを計ると、日本には不利な結果が出やすくなる。
・「人は幸せになるために生きている」という言説があるが、実際は、自己の「幸せ」や「楽しさ」を追求する人ほど幸福を感じにくい。
・遺伝は人の能力や資質に影響を与えるが、環境の影響もかなり大きい。
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