レビュー
「最近の若者は自分たち世代と価値観が違いすぎる。何をしてもハラスメントになりそうで怖い」──そう感じたことはないだろうか。
本書では、若者恐怖症を象徴する現象のひとつとして「飲み会嫌い」のイメージを取り上げる。メディアやSNSでは、若者が職場の飲み会を嫌っているかのような発信が目立つが、著者はその根拠の乏しさを指摘する。さらに、世代論やダイバーシティ、構築主義といったキーワードをもとに、「若者恐怖症」を和らげるための視点を提示している。
著者の舟津昌平氏は、東京大学大学院経済学研究科の講師であり、経営学と組織論の専門家だ。『制度複雑性のマネジメント』で複数の学会賞を受賞した気鋭の研究者であり、ベストセラー『Z世代化する社会』でも知られる。
「若者を飲み会に誘っていいのか」「退職を防ぐにはどうしたらいいのか」「やりがいを求める若者とどう接したらいいのかわからない」──そんな悩みを抱える管理職や人事・採用担当者に、ぜひ本書を手に取ってほしい。若者とのコミュニケーションに対する不安が軽減されるとともに、これからの指針が見えてくるはずだ。
本書の要点
・恐怖症を克服する手段のひとつは「理解すること」である。たとえば、メディアやSNSでは若者が職場の飲み会を嫌っているかのような発信が目立つものの、データを見てみると、明確な根拠は見当たらないことがわかる。
・現代社会には「個人的意見は尊重すべきでありながら取るに足らない」とする矛盾があり、それが若者理解をより複雑にしている。
・どのような関係性にも「権力勾配」は存在する。それを自覚し、受け入れ、礼をもって向き合うことで若者との間に信頼関係をつくるのが、恐怖を和らげる一番の近道だ。
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