レビュー
ビジネスで飛び交う難解なマーケティング用語。それが物語を読むだけで使いこなせるようになる。
主人公の日吉慶子が新事業を立ち上げ、個性的な仲間と協力しながら困難を乗り越えていく。そんな手に汗握る物語を楽しんでいるうちに、マーケティングの基本でもある4PやSTPといった言葉が理解できるようになっている。それが本書の強みだ。
シリーズ三部作『100円のコーラを1000円で売る方法』は、マーケティングの基本用語を覚えなくてもマーケティングの本質がわかる、というコンセプトで書かれていた。一方、装い新たな『【新】100円のコーラを1000円で売る方法』は、重要なマーケティングの基本用語を理解したうえで、それを使いこなせるようになるための一冊として書かれている。この10年で日本を取り巻く環境や新たなるマーケティング理論の登場など、様々なことが変わった。そうした事情を加味して、本書は完全新作となっている。
前作を読んだ人でも新しい学びが得られるし、ストーリー的な意味で、前作を知っているとニヤリとするような場面もある。マーケティングの教科書としてだけでなく、物語としても前作よりかなりパワーアップしている印象だ。今回は明確な「敵」が存在し、主人公たちに様々な妨害行為を仕掛けてくる。前回にも共通する物語を通じた学びという魅力は、より強い輝きを放っているといっても過言ではない。
デフレ経済から脱却しつつあるという日本にいま必要なのはアニマルスピリットだ、と著者はあとがきに記している。
本書の要点
・マーケティングとは広告を指す言葉ではない。マーケティングの神髄は「ビジネスでいかに価値を生むか」を考えぬくことにある。
・STPと4Pはマーケティングの基礎中の基礎だ。STPは、市場を細かく分けて、勝てる市場を選ぶことを指す。これをうまくやったのが「チョコザップ」である。
・STPの次は「4P」を考えなくてはいけない。プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションを検討する「4P」は、STPと首尾一貫している必要がある。
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