レビュー

どんな商品やサービスにも、かならず魅力はあるはずだ。だが、その魅力が著しく低く、興味を持つ人がほとんどいない場合、どう売り込めばいいのだろうか。


本書は、そんな悩めるセールスパーソンに救いの手を差し伸べる一冊だ。「マーケティングのバイブル」と称される世界的ベストセラーであり、その名を知る人もいるだろう。今回、初版から四半世紀を経て、新訳による待望の「新版」が登場した。
本書では、著者の実体験をベースに話が展開する。舞台はNBAチームの「ニュージャージー・ネッツ」。当時ネッツは観客動員数最下位で、チームの戦績も一番下か下から2番目。地元ニュージャージーでも人気を他チームに取られているという、ひどい状態にあった。そんなネッツのコンサルティングを任されたのが、著者である。さて、著者はどうやってこの逆境を打破していったのか?
本書ではさまざまなマーケティングやセールスの手法が紹介されるが、どれも驚くほどシンプルで「言われてみれば当然」というものばかりである。それなのに実践が難しいのは、思い込みや連綿と続いてきた慣習、短期的な利益追求――。あなたも思い当たる節があるはずだ。
ストーリーベースで軽快に綴られる本書は、マーケティング初心者にも読みやすい。
ぜひ稀代の名著を、この機会に楽しんでいただきたい。

※「エスキモー」は、現在では差別的な意味合いを持つとされることがありますが、本書では原題の用語を尊重し、そのまま使用しています。

本書の要点

・NBAチーム「ニュージャージー・ネッツ」は、観客動員数最下位の弱小チームだ。著者はネッツで「ジャンプスタート・マーケティング」を行い、起死回生を実現した。
・売り上げをすぐに伸ばす秘訣は、既存顧客に直接売り込むことである。
・ネッツの営業規範は「顧客が買いたい商品だけを売る」「顧客が買いたいと思うより、少しだけ多く売る」の2つだけだ。
・ターゲットのセグメンテーションでは「自社商品に興味があるかどうか」だけを基準とする。



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