レビュー

フロイトとユングにならんで心理学の三大巨匠に数えられるアドラーは、現代でもビジネスパーソンから厚い信頼を得ている。それは、アドラーの心理学が実践的な問題解決を目指していたからこそだ。


本書は、アドラー心理学の核心をマンガを通じてわかりやすく紹介している。これまでアドラーの心理学に触れたことがない人にとっても、親しみやすく、手に取りやすい一冊だ。1項目が見開き2ページでコンパクトにまとめられ、左側のページはマンガにあてられている。まずはマンガをすべて読むだけでも、アドラーの考えについて理解を深めることができるだろう。アドラーの名前は聞いたことがあるが、実は本は読んだことがないという人も安心して読み進められる。
20世紀初頭に活躍したアドラーの言葉の中には、時代を感じる記述もあるが、その根幹にある教えには普遍性がある。人生の悩みのほとんどは人間関係であると考えたアドラーは、良好な関係のために「信頼」と「尊敬」を重んじ、上下関係のない対等な関係を目指していた。その大切さは、多くの人が共感するところだろう。
そして、問題解決のためのアドラーの教えは極めて実践的だ。「ほめるのではなく勇気づけること」「叱責ではなく注意をすること」など、具体的な状況に合わせたアドバイスは参考になる点が多そうだ。人間関係に悩む人に特におすすめしたい一冊だ。

本書の要点

・アドラー心理学の基本は、どんな相手にも常に尊敬の念を持って接することだ。

一人ひとりがかけがえのない存在であるのだと考えれば、誰が相手でも尊敬の念を持つことができる。
・怒ったり泣いたりして相手を思い通りに動かそうとするのは子どものやることだ。大人になったら理性や話し合いで問題を解決すべきだ。
・「人生の3つの課題」には「仕事の課題」「交友の課題」「愛の課題」の3つがある。これを解決する基本は、「他者の課題」には介入せず、自分がやるべき「自分の課題」に集中して取り組むことだ。



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