レビュー

最後に夜空を見上げたのはいつだっただろう。本書に問われて考えても思い出せない。

星が出ている時間帯は、疲れた体で帰路につこうと足元ばかり見ている。そんなとき、「顔を上げて星を見てみよう」とはなかなか思いつかないものだ。
天文学者である著者は、そんなふうに空から遠ざかってしまった人たちに、空や星を見ないのはその人のせいではないとやさしく呼びかける。そして、「今から一緒に見ましょう」と、読者をどんどん宇宙の世界へ連れていってしまうのだ。読んでいてほっとする温かさのある筆致に誘われて読み進めるうちに、宇宙のおもしろさに引き込まれ、いつの間にか宇宙の世界から地球や自分を見ている。科学に軸足を置きながらも、「宇宙からの視点」について語る本書は、「宇宙から見た自分」「命の長さ」「知恵のリレー」など、人間の視点と宇宙の視点を行き来しながら、読者に静かな気づきを与えてくれる。
いつもとは違う角度からこの世界に思いをめぐらせてみると、同じことをくり返す日常ですらも輝いて見えはじめる。寝る前にも読めるような気軽さで、読者の悩みや焦りをそっとやわらげ、心の余白を与えてくれる。そうしているうちに、不思議と空を見る心の余裕まで取り戻したような感覚が芽生えてくる。
それでは、手のひらから宇宙旅行へ出かけよう。

本書の要点

・忙しい毎日を送っていると、空の存在感は小さくなってしまう。想像力を働かせ、漆黒の宇宙から地球を見つめると、そこに生きる命の物語に思いを馳せることができる。


・地上の命に与えられた時間は、宇宙の時間から見たらほんのひとときだ。「宇宙で存在を許された時間」をどう生きるかはあなた次第だ。
・私たちの普段の生活は、世代を超えて受け継がれてきた「知恵のリレー」に支えられている。暮らしの中にあたりまえなことなどひとつもないのだ。



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