レビュー

常に仕事に追われ、思うように休めていない人は少なくないだろう。要約者も休むのが苦手で、休日でもつい仕事をしてしまうことがある。

休むと「周りに置いていかれるのではないか」と焦りを感じ、心が落ち着かないのだ。頭では休んだほうがいいとわかっていても、いざ休もうとすると仕事のことが頭から離れない。
本書は、そんな状態に陥っている人にとって心強い一冊である。著者は精神科医・産業医の尾林誉史氏だ。医師になる前はリクルートで働いていた元ビジネスパーソンであり、「休みたいけれど休めない」という会社員の気持ちをよく理解している。そのため、ただ「休みましょう」と促すのではなく、状況や心理状態に応じた“適切な休み方”を示してくれる。
とくに印象的だったのは、「完全に休むのではなく、仕事のスピードを落とす」というアプローチだ。仕事が気になって休めないという人は多いが、少しスピードを落とすだけでも「休む」ことにつながるという。この方法を要約者も試したところ、「この業務は思ったより早く終わりそうだ」「これは優先しなくてもいい」と現状を俯瞰でき、心にも余裕が生まれた。そして少しずつ休めるようになり、休むことでむしろ仕事がうまく回ることを実感できた。
休むことに不安を覚えるビジネスパーソンは多い。しかし、無理を続ければ体調を崩し、働けなくなる可能性もある。
元気に働き続けるためにも、本書を一読し、仕事のペースを見直してみてはいかがだろうか。

本書の要点

・「疲れ」は気持ちの問題ではなく、脳・心・体の不調が複雑に絡み合った心身の反応である。仕事での疲れを対処するには、一人ひとりに合った働き方や休み方を探すことが大切だ。
・「休む」ことに抵抗があるなら「余裕を作る」と考えるといい。
・仕事から離れることが難しいなら、仕事のスピードを落としてみよう。冷静に状況を把握できるようになり、心に余裕が生まれるだろう。
・人間関係で必要以上に振り回されないためには、「折り合いがつかない相手」「わかり合えるかもしれない相手」「こちらのためを思ってくれる相手」の3タイプに分けて対応するといい。



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