レビュー
居酒屋やファミレスで食事をしているとき、書店やコンビニで買い物しているときに、いきなり大声で怒鳴りつける人に出くわし、面食らったことがある人は少なくないだろう。ただの苦情ではなく、いじめや恐喝に近い言動が見られると、自分が責められているわけでなくとも変な汗をかいてしまう。
2025年、東京都でカスタマー・ハラスメント防止条例が施行された。ここではカスタマー・ハラスメント(カスハラ)が「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義されている。しかし実際は、具体的な対応内容や、そもそもカスハラとは何なのか、まともな苦情との切り分けといったことが、なかなか浸透していない。
著者は、西武百貨店で長年「お客様相談室」を担当し、その後立ち上げた会社で「苦情・クレーマー対応アドバイザー」を務める、苦情対応の第一人者だ。無理難題、理不尽なイチャモンというカスハラが受け手に与える精神攻撃について、「優位な立場の者による『いじめ』だ」と書く。「相手・自分双方にとっての『最良の結果』」を目指すことが、これに対抗するために重要となる。
「1人の苦情を言う人の背後には、26人の同じ苦情を持つ人がいた」というグッドマンの法則も意識しておきたい。対応によっては自分たちの価値を高めることにつながる。そのためにも、そして、自分の苦情が理にかなったものかを振り返るためにも、あらゆる人が読んで糧にできる本である。
本書の要点
・自分の思いどおりにしようと、過剰な言動をとる人、明らかに販売員をいじめる目的で行動する人など、さまざまな「カスハラ」を行なう人物がいる。
・問題の大きなカスハラには毅然とした対応をとる。一方で、こちら側に非がある場合は真摯に謝罪し、一般の苦情のすべてをクレーマーのものと決めつけて過剰反応しないようにすることも大切である。
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