レビュー

本書『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』は、文芸批評家の三宅香帆さんがある講座で受けた質問から生まれた。若いビジネスパーソンと思しき質問者から聞かれたのは、「話が面白い人になる方法」だった。

じっくりと考えて準備する時間があるときにはうまく言語化できても、反射的な面白さが必要な場では言葉が出てこない。そんな切実な語り口に応えようと、三宅さんが考えたのがまずは本や漫画やドラマや映画を「鑑賞」として取り入れること。そして、鑑賞した作品を、話すネタにまで昇華させることだ。
今では本についてさまざまな媒体で話をしている著者でも、昔は「とっさに素早く言葉が出てこない」と悩んでいたのだという。話が面白くなければ、本を手に取ってもらえない。そうして試行錯誤して気づいたのが、本書で紹介する「鑑賞」の技術だ。読んだものや観たものを「ネタ」にする技術を身につければ、鑑賞はすべて「話が面白い人」になるための準備になる。新しい作品を鑑賞していれば、いつも違う面白い話ができるようになるし、インプットで人としても成長することができる。
本書の前半の技術解説編では、どんな話を仕込み、どう解釈すべきかを具体的に紹介している。そのうえで、後半の応用実践編では、著者自身が本書の技術を使って最近の作品を解説している。作品解説を読むだけでも面白いが、技術解説編を読んでからだと、「話が面白い人」の思考の道筋が見えてなお楽しめる。作品批評としても、話す技術の指南書としても楽しめる、二度美味しい一冊だ。

本書の要点

・「話が面白い人」になるためには、「①話を仕込む」「②話を解釈する」「③話すときに②を使う」という3つのプロセスをたくさん踏む必要がある。
・「比較」「抽象」「発見」「流行」「不易」のいずれかの5つの技術を使って作品を鑑賞することで、作品鑑賞を人に話すことができるネタにすることができる。
・何かを鑑賞した後は、感想と解釈を記録する「鑑賞ノート」をつけるのがおすすめだ。



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