レビュー

「上意下達」という言葉のごとく、一昔前まで上司と部下のコミュニケーションは「上から下へ」の一方通行で良しとされていた。しかし今は、よりフラットでインタラクティブなコミュニケーションが求められる。

一人ひとりを尊重しながらチームとして成果を出し、さらにメンバーの成長までを担う「リーダー」という役割は、以前よりもずっと難易度が増しているように見える。
本書は、そんな現代の「悩めるリーダー」に向けて書かれた一冊である。著者はプロコーチとして大手企業などで2万人以上のリーダー育成を行ってきた林健太郎氏。多くの著作を持ち、『否定しない習慣』をはじめとする「否定しない習慣」シリーズは累計22万部のベストセラーである。シリーズ最新刊である本作では、リーダーの悩みを解決する「否定しないマネジメント」を伝授する。
そもそも上司と部下はタテ型の関係であり、上司の発言や態度は部下に「否定された」と取られやすい構造がある。上司自身は「ただ感想を言っただけ」「否定ではなくアドバイス」だと思っていても、相手はそう受け取っていない可能性があるのだ。
本書では、「否定しないマネジメント」を「部下の心理的安全性を高め、チームの力を最大化するための関わり方」と定義し、その考え方から基本ステップ、職場における具体的な実践法までを丁寧に解説していく。
「否定しない」ことに否定的なリーダーもいるかもしれないが、そんな人こそ本書を一読してほしい。その効果にきっと目を奪われるはずだ。

本書の要点

・部下の心理的安全性を高め、チームの力を最大化するための関わり方が「否定しないマネジメント」である。
・まず、部下やメンバーのことを知ることから始めよう。

どんな仕事に喜びを感じるか。プライベートで好きなことは何か。相手に関心を寄せることが、否定しないマネジメントの最初の一歩である。
・褒めるよりも「ポジティブフィードバック」がおすすめだ。無理に褒めずとも「それに取り組んでるんだね」と、観察ベースの声かけでもよい。
・会議では前半を「否定しない時間」とし、メンバーが意見を出しやすい空気を醸成しよう。



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