レビュー

せっかちを自認する要約者は、自分を「すぐやる人」だと思っていた。複数のタスクを同時にこなすのが当たり前の時代、本書の習慣もすでに実践できているのではないか――。

そう思って読み進めたものの、その期待はいい意味で裏切られた。
本書は、目標を達成するための実践しやすい習慣が50個詰まった一冊だ。お金も時間もかからず、すぐに取り入れられる習慣ばかり。しかし、それを「習慣」として定着させるには、「変わりたい」という意志が欠かせない。
著者夫婦は、2万人以上をサポートしてきた「目標実現の専門家」と「問題解決の専門家」である。二人は、ダラダラしてしまうメカニズムから、「小さな習慣」が人生や仕事に効く理由までを、心理学・脳科学・コーチングの知見をもとに平易かつ論理的に解き明かしていく。「どうすれば変われるのか」のメカニズムに納得感があるため、行動が変わり、習慣として根づきやすくなる。
たとえば「自己効力感」「チャンクダウン」といった概念は、自分に合った習慣づくりの基盤となる。そうして培われた「すぐやる人」は、単にタスク処理が速い人ではなく、主体的に大きな目標に向かえる人に成長できる。
印象的なのは「おわりに」で明かされる著者らのエピソードだ。仕事や子育てに悩みながらも、ある「小さな習慣」で前向きになれたという体験に、思わず共感が湧く。気づけば、自分も明日から試してみようと思っていた。

理想の自分に近づくために、「行動」が変わる一冊である。

本書の要点

・「すぐやる人」になるためには「自己効力感」を上げることが必要だ。そのためには、誰でも簡単に実行できる「小さな習慣」が役に立つ。
・適切な緊張状態をつくるには「タカメル」「キリカエ」「ユルメル」の「3つの緊張スイッチ」が有効となる。
・起床したら目標のある方向を指差すと、意識が明確に目標に向き、メリハリのある1日を過ごせる。



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