レビュー

本書を読み始めたとき、「耳が痛い」と感じたのが正直なところだ。
たまっていく一方の思い出の品、いつか勉強するための参考書、理想の自分を思い描いて買った服など、日の目を見ることがないだろうと思いつつも捨てられないものは少なくない。


それに対し、「いつまで持ってるの?」とストレートに問いかけてくるのが本書である。
著者は、カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子氏である。現在は、持たない暮らしを発信している筆子氏だが、かつてはものに執着し、捨てることができなかったという。
本書は、そんな筆子氏の経験を踏まえた、「ガラクタ」の捨て方を紹介している。その代表ともいえるのが、「思い出の品」の捨て方だ。それは大切な品であり、ガラクタと呼ぶことには抵抗がある。しかし、本書を読んでいるうちに、自分が思い出の品だと思っているものに疑問がわいてくる。しまい込んでいて目にすることがない記念品や何年も開いていないアルバムなど、大切にしているといえるのだろうか。
捨てられないのは思い出の品の背景にある気持ちのためだと本書は指摘する。「もの」を処分しても、大切にすべき「気持ち」がなくなることはない。むしろ、いらないものを持ちすぎていると、本当に大切なものが見えなくなってしまうのだ。
そうして捨てることができるのは、「もの」だけではない。
「もの」を捨てることを考えていくうちに、「もの」に囚われていた気持ちまですっきりしてくる。そうした行動が、ポジティブで軽やかに生きることにもつながっていく。

本書の要点

・思い出の品が大切だというのは思い込みだ。捨てにくいのは、感情や記憶のような目に見えないものと結びついているからだ。思い出の品を処分しても、思い出や人とのつながりは心の中に残っている。
・理想の自分を目指して買ったものの、使っていないものを「野望ガラクタ」という。野望ガラクタの先にある「未来の私」を夢見ていても現実にはならない。
・ネガティブ思考のような悪習慣は、「見えないガラクタ」であり、物理的なものよりも捨てにくい。しかし、小さな行動を積み重ねていくことで、悪い習慣も手放すことができる。



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