レビュー

本書は、「オウンドコミュニティ」の第一人者である著者が、初めてその概念と実践を体系化したものである。
近年、インフルエンサーの影響力が頭打ちとなり、SNSもマスメディア化するなかで、ユーザーはプライベートでニッチな「コージー・ウェブ(親密で居心地のよいウェブ)」へ居場所を移し始めている。

これまでSNSにおけるインフルエンサーマーケティングを牽引してきた著者がオウンドコミュニティへと舵を切ったのは、この空気感のシフトが背景だ。
マーケティングのトレンドが、マスマーケティングからパーソナライズドマーケティング、そしてコミュニティマーケティングにシフトして久しい。顧客の趣味嗜好を所与のものとせず、変容・進化・深化させていくという意味で、オウンドコミュニティはパーソナライズドマーケティングを超えた手法であるとともに、コミュニティマーケティングの代表的なメソッドとなる可能性を秘めているだろう。
データ偏重で「人」の姿が見えなくなった従来型デジタルマーケティングに限界を感じている人、インフルエンサーマーケティングに行き詰まりを覚えている人、あるいはコミュニティマーケティングを取り入れるにあたり具体的指針を求めている人にとって、本書は新たな発想と実践のヒントを与えてくれるはずだ。
オウンドコミュニティの運営者は裏方に徹しなければいけないと説く著者は、その姿勢ゆえか、自身もメディア露出が少ない。著者の知見に直接触れられる希少な機会であるという点も、本書の大きな魅力と言えるだろう。

本書の要点

・オウンドコミュニティとは、企業や個人が自ら所有・運営するコミュニティのことである。
・オウンドコミュニティは、顧客との関係構築を目的とするプラットフォームである。多方向のコミュニケーションを通じて、安価で良質なコンテンツを継続的に生みだせるなど、多くのメリットが期待できる。
・オウンドコミュニティを設計する際は、Vision、Connect、Interact、Share、Empathyで構成される「5VALUE」という考え方が重要になる。



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