レビュー

『アオアシ』は、2015年から2025年まで「ビッグコミックスピリッツ」に連載された、小林有吾氏によるサッカーマンガである。サッカーマンガといえば、華々しい才能を持ったプレイヤーたちがチームワークで活躍する作品を思い浮かべるだろう。

『アオアシ』もその例に漏れず、スポーツマンガらしいダイナミズムを味わうことができる。
一方で特徴的なのは、『アオアシ』ではJユース――18歳以下の若者世代を扱っていることである。登場するプレイヤーたちは輝く可能性を持ちながら若く未完成な存在として描かれ、必然的に、その力を引き出す監督の指導法にも焦点が当たっていく。本書では、監督である「福田達也」という登場人物の振る舞いを分析することで、教わる側が自律的に学び、自走する指導法の秘訣を導き出していく。
著者の仲山進也氏は、創業期の楽天に入社し「楽天大学」を設立した後、自らの会社を立ち上げた人物だ。その一方で、Jリーグチーム「横浜F・マリノス」とプロ契約をし、選手・コーチへの育成プログラムを実施した経験を持つ。サッカー現場での経験が、本書でも存分に活かされている。
人は「教える側」に回ったとき、答えを与えるだけで安心してしまいがちだ。しかし本書では、「教わる側が自ら考え、自ら動き、自律的に学び続ける力」を育てるには、「答えを教えない」こと――つまり「お題設計アプローチ」が有効だと提唱する。
スポーツもビジネスも、組織で目的を達成するという本質は変わらない。本書は教え方に対する思い込みを打破してくれる一冊といえるだろう。

本書の要点

・「お題」を設計して与えることで、受け手は自分なりの最適解を見つけ、自律的に動けるようになる。


・指導者と学習者の関係に加え、学習者同士が切磋琢磨できる「1対n対n」の実践コミュニティを構築することで、個の成長を組織の力に連鎖させることができる。
・リーダーは最初から答えを示す「賢者」ではなく、自らの弱さや無知をさらけ出す「愚者風リーダーシップ」を取るといい。これにより学習者は、答えを自ら出せるようになる。



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