レビュー
スマホやパソコンからあふれ出す情報におぼれ、最近、なんだか疲れている──そんな人に手に取ってほしいのが本書『読書する脳』だ。
著者の毛内拡氏は、お茶の水女子大学で神経生理学を専門とする脳科学者である。
本書では、読書が脳にもたらす効果を科学的に解き明かす。「スマホはダメ、紙の本を読め」と、単なる決めつけのような主張をするのではなく、科学的知見に基づいて解説する。注目すべきは、読書が「脳の休息」になるしくみの項だ。脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)が暴走すると、ネガティブな思考や反芻思考がメンタル不調にもつながるが、読書はこの回路の過活動を抑え、精神的疲労を防ぐという。読書によって、脳と身体がリラックスする効果についても、詳しく紹介されている。
ほかにも、なぜ紙の本で読んだ内容は記憶に残りやすいのか? 読書によって「頭がよくなる」のはなぜか?など、読書がもたらすメリットが多角的に示されている。
さらに、読書が私たちの共感力や社会性を養うメカニズムについても深く考察されており、読書経験がいかにして血肉になるかを実感することもできる。本が好きな人はもちろん、これから読書習慣を身につけたいという人にとっても、モチベーションを高めてくれる入門書として、効果的に作用するはずだ。
本書の要点
・私たちの脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という回路がある。これが過剰に働くと反芻思考を引き起こし、メンタル不調につながる。読書はこのDMNの暴走を抑え、脳の休息をもたらす。
・脳は無意識に自分に都合のよい情報を選び取る「確証バイアス」を持つ。精読によってこのバイアスを抑えることで、客観的で深い理解が可能になる。
・解釈の余地がある本を読み終わったときの「未完了感」は、私たちに自らの内面を探究するきっかけを与えてくれる。これは精神的自由を育み、守る手段となりうる。
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