レビュー

「感動を伝えたいのに、ぴったりな表現が出てこない」「考えていることはあるのに、うまく言葉にならない」──そんなモヤモヤを抱えたとき、あなたは「自分には語彙力がないから仕方ない」と諦めてしまっていないだろうか。もしそうだとしたら、それは非常にもったいないことである。


本書の著者である三宅香帆氏は、言語化に本当に必要なのは「語彙力」ではなく「細分化」だと説く。「具体的にどの部分に心が動いたのか」「どんなふうに、なぜ心を動かされたのか」と自問自答することで生まれる語りの具体性こそが、オリジナリティを生むというのだ。この指摘に、多くの読者が目からウロコが落ちると同時に、納得感を覚えるはずである。
本書では、言語化のプロセスを「心が動いた箇所の具体例をあげる→感情を言語化する→メモをとる」という3つのステップに分けて解説している。いずれも特別な才能を必要とせず、三宅氏自身が日常的に実践している方法だという点が、内容への信頼感をいっそう高めている。
さらに特筆すべきは、「自分のなかの言語化」と「他人に対する言語化」を明確に切り分けている点だ。前者は心の内を言葉にする作業であり、後者はそれを相手に伝わる形へ組み直す作業である。現時点で「自分のなかの言語化」には関心が薄い人でも、「他人に対する言語化」はぜひ磨きたいと感じるのではないだろうか。
発信に苦手意識がある人、魅力を伝えたい「推し」や「趣味」がある人、説明力やプレゼン力を高めたい人に本書を勧めたい。読み進めるほどに、自分の言葉で何かを伝えたくなるはずだ。

本書の要点

・SNSを通じて他人の言葉が自分の思考に入り込みやすい現代では、自分自身の感情や思考を言語化することがますます難しくなっている。
・言語化には、「自分のなかの言語化」と「他人に対する言語化」の2種類がある。

「他人に対する言語化」を行う前段階として、必ず「自分のなかの言語化」を行なわなければならない。
・「自分のなかの言語化」は、心が動いた箇所の具体例をあげる→感情を言語化する→メモをとる、という3ステップで完成する。



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