レビュー

令和で一番売れた本として知られる『人は話し方が9割』。出版不況といわれ、書店の数が減り続けるなか、なぜこの本は単行本の通算売上データで「令和で一番売れた本」になるまで、売れ行きを伸ばし続けることができたのだろうか。

本書『読まない人に、本を売れ。』は、その舞台裏を著者自身の体験をもとに描いた、臨場感溢れる一冊である。
成功の秘訣は、「本を読む人」ではなく「ふだん本を読まない人」にどう届けるかを、企画段階から徹底的に考え抜いた点にある。『人は話し方が9割』を世に送り出したチームは、単に幸運に身を任せて日本一を手にしたのではない。想定読者を具体的に設定し、文字数、余白、行数、語り口に至るまで、すべてを逆算して設計していった。その思考と試行錯誤の過程が、本書では余すところなく語られている。
発売後も、売れ行きのデータを冷静に分析し、書店の売り場を起点とした戦略的な営業を展開。全国行脚による地道な売り場づくり、多額の費用を投じた広告出稿など、投入されたリソースは決して小さくない。なかには空振りに終わった施策もあったが、それでも挑戦を止めず、チームで粘り強く努力を重ねた結果、日本一という成果にたどり着いたのである。
「読まない人に、本を売れ」という挑戦には、ビジネスの本質が凝縮されている。「興味のない人に、どうすれば届くのか」という問いは、本づくりに限らず、商品やサービス、アイデアを扱うすべての仕事に通じる。自分が売ろうとするものに当てはめながら読むと、より実践的な学びを得られるだろう。

本書の要点

・母の死をきっかけに、上京して出版で日本一を目指すと決意した著者は、かつて『心の壁の壊し方』の書店大展開を実現してくれた営業マン原口大輔の誘いで、すばる舎と仕事をすることになる。
・大輔のたっての希望で「話し方の本」を書くことにした著者は、すばる舎の編集者である上江洲安成(うえずやすなり)さんとの対話から、「話し方のメンタル本」というテーマを得る。
・「読まない人に、本を売る」ために、読者層を具体化し、チームはそれに合わせた本づくりと営業戦略を実践していった。



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