レビュー

「いい経営者」とはどのような人なのか。「いい経営」とは何を指すのか。

そして、「いい経営者」は「いい経営」を実現できるのか。本書は、この3つの問いに対して、著者自身の豊富な実体験と、長年にわたる探究をもとに、誠実で示唆に富んだ答えを提示してくれる一冊である。
著者の高家正行氏は、いわゆるプロ経営者だ。2008年から2013年までミスミの代表取締役社長を務めた後、「一定の役割を果たし切った」という実感のもとで退任。その後も複数の企業経営に携わり、カインズでは取締役、副社長を経て、2019年に代表取締役社長 CEOに就任している。
高家氏は、カインズの経営を通じて、冒頭に挙げた3つの問いと向き合い続けてきたという。中でも特に印象的なのが、書名にもなっている「いい経営者は『いい経営』ができるのか」という問いだ。結論を先に言えば、「いい経営者」であればあるほど、「いい経営」は難しくなるという。一見逆説的だが、経営者が強いリーダーシップを発揮すればするほど、従業員は主体性を失いかねないからだ。
では、高家氏はどのような経験と思考を経て、この結論に至ったのか。そして、「いい経営者」でありながら「いい経営」を実現するために、本当に必要なものとは何なのか――。
経営者でなくとも、この問いは決して他人事ではない。
「いい経営者は『いい経営』ができるのか」という問いを胸に、本書を最後まで読み進めてほしい。仕事との向き合い方や組織の中での自分の立ち位置を見つめ直すきっかけになるはずだ。

本書の要点

・「いい経営者」は、戦時に追い込まれてから動くのではなく、平時のうちに変革を仕掛けて結果を出す。危機が目前に迫ってから打ち手を考えるよりも、取り得る選択肢が格段に広がり、企業が生き残れる可能性も高まるからだ。
・トップのリーダーシップが強ければ強いほど、社員の思考を止めてしまう危険性がある。そうした状態を招かないことが「いい経営」を成立させる重要な条件となる。
・経営者の役割は、自律的なリーダーが次々と生まれる組織をつくることだ。そうしたリーダーの存在によってこそ、企業における変化は一過性に終わらず、持続的なものとなる。



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